こんにちは! こぎー(Instagram・Twitter)です。
レンズ選びは同じスペックの製品も多く、沼にはまってしまう人が続出するぐらいムズカシイと思います。
同じ50mmの画角のレンズでも作例だけだと両方良さそう、、どっちが性能がいいのか曖昧だなぁ・・
ですがMTF曲線の見方を知っていれば、「実は選んだレンズの方がイマイチなレンズだった」と失敗をする確率を減らすことができます。
無駄に時間をかけて悩む必要もなくなり比較できる検討材料を多くできるので、ただでさえ高額な買い物を納得してすることができます。
今回の記事では、MTF曲線の意味と用語の解説、そして読み方を分かりやすく図解で原理から理解できるようになり、作例やレビューを見るだけでは分からないレンズ購入時に性能を数値的に比較をすることができるようになります。
最近のレンズは性能がいいですし感覚では分かりづらく、星景などのシビアな撮影でも少しでもいい写真を撮るためのレンズ選びに、MTF曲線の知識があると非常に心強いです。
意外と覚えるのは簡単で、用語も意味も理解しやすいのでこの記事で覚えてしまうことをおススメします。
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MTF曲線とは?レンズの何が分かるの?
でも、この意味は全然覚えなくてイイよ!
なんてこったい!日本語でおK。 意味がムズカシすぎて一切、何なのか訳が分からないのですが、、
結論として、MTF曲線でレンズの解像度とコントラストをどれだけ表現できるか数値化して知ることができます。
下の図がMTF曲線なのですが、ぶっちゃけ「グラフの上部に曲線が張り付いているレンズほど性能がいい」って何となく聞いたことがある人も多いと思います。
それだけではMTF曲線の読み方について心許ないので、以後、今回はソニーの2020年3月に発売した単焦点レンズ「SEL20F18G」を例して詳細に解説していきたいと思います。
MTF曲線の軸の意味や用語を知ろう
グラフの縦軸と横軸の単位
まずはグラフの縦軸と横軸の単位です。ソニーは優しく軸の名称と単位を書いてありますが、某C社や某N社などは表記がないので、なおさら取っ付きにくいポイントでもあると思います。
- 縦軸 : コントラストの表現率になります。
- 横軸 : イメージセンサーへの照射位置で、中央からの距離で表され専門用語だと像高とか言ったりします。
単位は百分率の0~100%や、コントラスト値(0~1.0)で表現されます。
単位は長さ(mm)で大体0~20mm過ぎぐらいまで範囲が書いてあります。
縦軸の値が高いほどコントラストが表現されていることは理解しやすいのですが、横軸は少しピンと来ない人も多いと思います。
レンズには様々な方向から光が入って像を結ぶのですが、カメラのイメージセンサーに光が照射されたときに距離ごとにどのように照射されているかを横軸では確認することが出来ます。
フルサイズのセンサーを搭載しているカメラの場合、センサーのサイズは横36mm×縦24mmなのですが、対角線は43mmほどで、中央から隅までは半分の長さの約21.5mmとなります。
そのため横軸でセンサーの全ての範囲のコントラスト値を表現するため、20mmちょっとを縦軸でカバーしておけば満面なく性能を確認できます。
本数、アルファベットのTやRなどの意味
図の右下に”R”のようなアルファベット、10本線/mmなどと書いてある単語について説明をしたいと思います。○○本/mmの意味
本数の違いによってコントラストと解像度の状態を読み取ることができます。
この「○○本/mm」の意味は、"1mmの中に線が何本あるか"ということを表していて、下の写真の様な線の写真を写してその表現度でコントラスト値を計算しています。
線は白と黒(図では青)をなだらかにグラデーションで行き来していて、レンズで撮影したときにカクカクな写真だと表現が悪くコントラスト値が低く、なだらかで忠実に再現されているほどコントラスト値が高くなります。
本数による違いなのですが、10本に比べて30本の場合細かい線になります。
- 10本/mmと本数の幅が広いほど、なだらかなグラデーションを再現できることをテストすることができます。
- 逆に30本/mmと本数の幅が狭いほど、グラデーションの変化が激しく、しっかりとレンズが写しきれて解像しているかをテストすることができます。
そのため、10本/mmの縦軸の値がいい場合、コントラストの表現が豊かなレンズとなり、30本/mmの値がいいほどシャープで高解像な写真を撮れるレンズということを証明することができます。
縦軸の状態 | 10本/mm | 30本/mm |
---|---|---|
コントラストが良好な場合 | ||
コントラスト 良 | 解像度 良 | |
コントラストが低い場合 | ||
コントラスト 低 | 解像度 低 |
アルファベットの意味
アルファベットの意味は計測方法のイニシャルで、上の図のソニー場合、"T"と"R"の2パターンの結果になります。
この計測結果がボケ味にも影響を与えていると一般的に言われており、2パターンの計測値とも高く、曲線が同じような線を描くほどボケ味が美しく、自然な感じになります。
ですが、せっかくなら簡単にアルファベットの意味とボケ味との関連性についても解説したいと思います。
イニシャルの名称はメーカーによっても異なっていますが、基本下記の通りです。
測定の形状 | 名称その1 | 名称その2 |
---|---|---|
放射線状 | R:ラジアル | S:サジタル |
同心円状 | T:タンジェンシャル | M:メリジオナル |
放射線や同心円に沿って異なる変化を計測することで、異なる傾向のグラフをつくることができます。
グラフの違いは収差によって顕著になり、両方のグラフが近似するほど収差が少なくなります。
収差がないとレンズから照射する光がセンサー上で均一に品質が保たれ、ボケも歪んだりせず画質がよくなります。
MTF曲線の読み方
先ほどから、登場しているSEL20F18Gでグラフを読んでみましょう。
MTF曲線の見方は以下の通り。
- 低周波(10本/mm)のMTF特性が80%(0.8)以上で優秀なレンズ、60%(0.6)以上で満足いく画質になる。[キヤノン公式サイトより引用]
- T:タンジェンシャルとR:ラジアルのグラフが重なっているほど、自然な描写でボケもきれいなレンズになる。
→グラフが上に張り付いているほど、画質がいい
→場所と検査方法により品質のムラがないことがわかる
SEL20F18GのMTF曲線の横軸のをみると、F値が開放(F1.8)の時センサーの中心から16mmほどまでは高画質と言うことが出来ます。
そして16mmぐらいからコントラストの表現率が下がっています。
この状態から収差の画質を見ることが出来て、20mmにいくにつれて表現率がなだらかに降下している場合は収差がすくなく、表現率が急降下していると収差が多く画質が低いことをあらわしています。
高周波(30本/mm)のR:ラジアルのグラフで横軸が20mm付近でコントラストが0.6を下回っているため一般的に周辺の解像度が少し悪い状態になります。
ただレンズは広角レンズで、一般的に広角は端のほうの収差がひどいものが多いといわれています。
その点、SEL20F18Gは開放にもかかわらず0.6付近のため、非常に優秀といってもいいと思います。
そして絞りをF8まで絞ると、全域に置いてグラフが上のほうに張り付いていて、全域に置いて高画質なのが分かります。
さらにボケ味を見ると、開放でのR:ラジアルのグラフが気になりますが、さほど気にしなくてもいいのではないのかなぁと思います。
品質のいい素材や加工技術の開発・コーティングで対策で来て、それぞれのメーカーが頑張って撲滅を目指して日々頑張っています。
こぎーのまとめ
あくまでレンズを総合的に評価する時は、さわり心地や重量などの使い勝手、AFの速さなども加味する必要があるのですが、、
レビューなどで色々な人ので評価が分かれている時に、MTF曲線を読むことができれば、数値的にレンズの良し悪しを評価できる強い味方になってくれます。
MTF曲線の軸が表すものは以下の通りで、
- 縦軸 : コントラストの表現率になります。
- 横軸 : イメージセンサーへの照射位置で、中央からの距離で表され専門用語だと像高とか言ったりします。
単位は百分率の0~100%や、コントラスト値(0~1.0)で表現されます。
単位は長さ(mm)で大体0~20mm過ぎぐらいまで範囲が書いてあります。
グラフの種類は、この通り。
- 10本/mmと本数の幅が広いほど、なだらかなグラデーションを再現できることをテストすることができます。
- 逆に30本/mmと本数の幅が狭いほど、グラデーションの変化が激しく、しっかりとレンズが写しきれて解像しているかをテストすることができます。
そして、グラフの見かたですが、
- 低周波(10本/mm)のMTF特性が80%(0.8)以上で優秀なレンズ、60%(0.6)以上で満足いく画質になる。
- T:タンジェンシャルとR:ラジアルのグラフが重なっているほど、自然な描写でボケもきれいなレンズになる。
→グラフが上に張り付いているほど、画質がいい
→場所と検査方法により品質のムラがないことがわかる
以上の通りです。
レンズの購入で後悔しないよう、MTF曲線の読み方を覚えておけば、一歩踏み込んだレンズ選びをすることができるようになります。