こんにちは! 遠くを眺めるのが好きな、こぎー(fa-instagramInsutagramfa-link・fa-twitter-squareTwitterfa-link)です。
写真を撮るとき、近くの景色の空気感と遠くにある景色の空気感の違いって、考えたことがありますか?
今いる場所は、ピーカン照りの晴れの日、曇りの日。春のふんわりした午後。冬の肌を刺す寒さの中の透き通った空。いろいろな空気感があると思います。
その空気感は遠くの山々やビルの地平線上も続いているとは限りません。
さらに遠くに見える景色ほど大気内の物質による影響を受けます。
これらの空気感の違いは大気の中の水分量により、光が乱反射し拡散される量のちがいも考えれます。舞っているホコリやスモッグなどの塵による影響も考えられます。
絵画などのアートでは、この大気による奥行きの表現を空気遠近法といいます。(美術ではモナリザがよく解説されています)
写真をレタッチするときに空気遠近法を落とし込むことで、絵画と同様に2次元の描写である写真に深い奥行きを作ることができます。
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空気遠近法の特徴
遠くの景色はかすんでぼやけていく
遠くになるほど大気の層が厚くなっていきます。遠くの景色ほど空気に含まれる水分や塵の層も厚くなるため光の乱反射による拡散が増えていき、ぼやけていきます。
そのため遠くの風景ほど、不鮮明になりかすんだ景色になって行きます。
逆に手前の風景ほど、大気の影響が少なくシャープでくっきりな解像度がある状態になります。
写真で奥行きがある部分というのは、かすみがかかったモヤっとした状態になります。
そのため背景がボケている写真に奥行きを感じることができます。
遠くの景色はかすみコントラストが弱く彩度が低くなる
かすんでぼやけていくことと同じで遠くの景色ほど大気の層の影響を受けます。
そうなると奥に進むほど光源が無い限り、暗くなりやすくコントラストが低下していきます。
そして彩度が低くなっていきます。
後ろにあると暗くなり、遠くになるほど彩度が落ちていきます。
遠くの景色ほど光の屈折により空の色になる
ちょっと、おセンチな質問です。
なぜ空は青いのでしょうか?
えっと、、決して哲学的なことではなく、
科学的に説明すると、可視光線のなかで青い色の光の波長はいちばん短いのです。
波長が短いので大気中の水分やホコリに当たる可能性が高くなります。そして衝突するときに屈折や拡散をされるため青色の光は広がりあらゆる方向へ散らばります。
そのため空は青く見えるのです。
そして遠くの風景になるほど、青い光の拡散が濃く、影響をうけ青くなりやすいのです。
ちなみに夕焼けなどがオレンジや赤色に染まるのは太陽の位置が日中に比べて遠い位置にあります。
そして僕らがいる場所まで光が届く間に、光が拡散をしきってしまい届かないため、一番波長の長い赤色やオレンジに染まります。
空気遠近法の活かし方
空気遠近法で視線誘導をする
空気遠近法を考慮すれば奥行きを出すことができます。
先ほどの紅葉の写真は奥の背景がボケているので、手前のピントが合った部分よりも奥にももみじがあることが分かります。
でも風景は全体にピントを合わせるパンフォーカスが必須です。
ボケを使えば簡単に遠近法が出せるのですが、空の空気感などもしっかり解像した写真が撮りたくなります。
その場合、光の反射や拡散による彩度やコントラストだったり、色相(色合い)の違いによって表現をしないといけません。
そして空気遠近法を使用することで、手前の風景から奥の風景まで視線誘導をして写真を見る人が吸い込まれるような奥行きを出すこともできます。
視線誘導にはたくさんの方法がありますが、空気遠近法も重要な要素の一つです。
大気中だけでなく、水中でも同じ。
空などの大気の中以外でも、水中でも同じようなことがいえます。
この写真は名古屋港水族館のイルカの水槽なのですが、イルカだけだと寂しかったので、気泡を追加してみました。(まだまだ粗は多いですが。。)
手前のイルカと奥にいるイルカを比べてみると、奥のイルカは暗くてぼんやりしています。
そして気泡は手前ほど明るく、シャープになっています。そして奥に行くほど暗くなりぼやけます。
水中は透明度が大気よりも低いことが多く、短い距離でも強めに空気遠近法を考えると奥行きが出すことができます。
雨や雪も同じ
雨や雪などは大気中を舞う大きな物質です。
なので水中の水泡や普段僕らが撮っている被写体と同じように空気遠近法視線誘導や奥行きを表現するいいファクターになってくれます。
雪が降っていれば前景を作ることができ、手前のため明るくシャープです。
そこを視線誘導の始点にすることができ、この写真だと奥にある名古屋城へ雪の点が直線を結び視線誘導をすることができます。
こぎーのまとめ
空気遠近法は自然の原理を論理的に落とし込んだものです。
ただ何も考えず写真を撮っても、自然現象のため空気遠近法が発生します。
ですが、この空気遠近法を知っているか知らないかで、自分の撮った写真をレタッチでさらに奥行きが出るものにできて、写真という切り取った空間を実際に自分の目で見て感動した景色に近づけることができます。
・ぼやけた景色になる
・コントラストが弱くなる
・彩度が落ちる
・青みがかかる(大気の状況によって変わる)
この自然の摂理を写真に取り込めれば、一歩踏み込んだ風景写真を作ることができます。
そして僕の作ったイルカの写真のように気泡を自然な雰囲気で表現することができます。